
お前は結婚できて良いよな

えっ、なんで?

俺は宗教2世だからさ。婚活もなかなかうまくいかないんだよ
最近なにかと話題になる宗教2世問題。
婚活においても宗教2世である事が不利に働き、「結婚できない!」と嘆く方が多いのが実情です。
何故宗教2世は結婚できないのか。
今回はわたしの友人Tの事例を交えながら、宗教2世が結婚できない理由と対策について考えたいと思います。
宗教2世である友人Tの話

「お前は結婚できて良いよな。。。俺は宗教2世だからなかなかうまくいかないんだよ」
↑は幼馴染のTが1年前、居酒屋でボソッとわたしに呟いた言葉です。
Tもわたしも40歳前。
Tの家は日本人なら1度は聞いた事があるだろう某新興宗教の熱心な信者でした。
子どもの頃、Tの家に行くとその宗教の会合やお勤めをしている事があり、その時は、
「なんか変わったことしてんな」
くらいにしか思っていませんでした。
彼曰く、婚活で宗教を出すと誰ともマッチングしないのだそうです。
また、過去に1度は結婚が決まりかけた事もあったのですが、Tの信仰を相手女性の家族が快く思わず破談になった事もありました。
そんなこんなでT自身、「自分が結婚できないのは宗教2世であるから」と思っていたようです。
わたしはそれを否定できませんでした。
何故ならTはイケメンではないものの、中肉中背、年収500万、性格は温厚でコミュ力もあります。婚活ではいわゆるモテるタイプの男性だったからです。
逆に言うと宗教以外で彼をフィルターで弾く女性が多く居るとも思えませんでした。
「宗教2世が結婚できない原因ってわかってるなら信仰やめればいいんじゃね?」
酔いも回っていたわたしはついつい冗談混じりでそんな暴言を吐いてしまいました。
すると、Tは急に真剣な表情になってこれまで誰にも話さなかったであろう宗教2世の苦悩を打ち明けてくれたのです。
宗教2世は家族を人質に取られているようなもの
「実は、俺さ。そもそもそんな信仰心なんてないんだよね」
Tは周りをキョロキョロ警戒するように見回した後、そんな事を話し始めました。
わたしは突然の告白にド肝を抜かれました。
なんでも、信仰心はないが親を納得させるには信仰してるフリをしないと生きてこれなかったんだとか。
わたし「えっ。じゃあ親のためにただ信仰してるフリをしてきたって事?」
T「そう」
わたし「なんで?」
T「なんでって、そうしないと家族関係が破綻するからだよ」
わたしはしばし絶句しました。
要するにTの家庭ではその宗教を信仰しないと家族でいる事さえできないそうなのです。
T「だって、親も親戚も兄弟もみんな信仰してるんだぜ。1人だけ辞めるわってそりゃ無理だろ」
宗教を捨てる=家族を捨てること。
Tは「宗教2世は誰しも家族を人質に取られてるようなものだ」と言い放ちました。
宗教を伏せて婚活するとどうなるのか?
わたし「じゃあさ。例えば宗教のこと言わずに婚活したらどう?」
結婚後の生活様式に深く関わる事を婚活で最初に言わないのはルール違反かもしれません。
しかし、わたしは多少グレーな手段であってもTの幸せを願う友人の1人でした。
T「それも考えたし、実際にやってたんだよね。でもその結果がY美だよ」
Tはため息混じりにY美の名前を出しました。
Y美とは、先述の結婚が破談になった女性の事です。
T「最初に宗教を伏せたところで後々それが大きな問題になって破談になるくらいなら最初から打ち明けた方が良いかなって。あれを機に思ったよ。結局相手も傷つけたしね」
たしかに。
相手どころかT自身も傷ついたに違いありません。
わたしは返す言葉が無くなりました。
同じ宗教同士での結婚も難しい
わたし「じゃあさ。いっその事同じ宗教内で相手を探せば良いんじゃないの?」
T「もちろんそれはまず最初に考えたさ。もちろんそれが出来るならそれが一番話が早いからね。なんならうちの母親も必死になって同じ宗教の人を探してくれたよ。実際お見合いも何回かしたしね」
わたし「で、ダメだったの?」
T「うん。ダメだった」
T曰く、同じ宗教っていう事だけでもちろん好きになる訳じゃないし、そもそも同じ宗教に固執すると絶対数が減るので気が合う人と会える確率がぐんと減るのだそう。
また、Tは某新興宗教あるあるとして次のような事も語りました。
T「うちの宗教は男が跡を継ぐんだよね。だから女の子はその宗教以外の人と結婚しても別に問題ないわけ。でも跡継ぎの男はガッツリ宗教行事も取り仕切らないとダメだからやっぱり相手にはその宗教に理解がある人じゃないと難しいんだよ。
その結果跡継ぎの嫁不足が深刻化するんだ。同じ宗教の人と結婚しようと思ったらすごい倍率になると思うぜ」
Tの話によると、嫁探しをしている男10人に対して、女性は1人くらいしかいないそう。
普通の婚活でモテそうなTでも、10倍の倍率なら選ばれないのは無理はありませんでした。
結局「宗教2世の結婚できない問題」は解決できないまま、わたしとTはその日居酒屋を後にしました。
Tの話は無宗教のわたしにとっては衝撃でした。
自由が叫ばれて久しいこの時代に、Tのような人間がいる事がにわかに信じられなかったのです。
居酒屋で気の利いたアドバイスも言えなかったわたしは、のちのち酔いが覚めた頭で色んな事を考えました。
宗教2世の1番の問題

この日本ではTのように宗教2世で結婚できない人がそれなりの数居ると思われます。
彼らが結婚するにはどうすれば良いのでしょうか。
わたしなりに無い頭を絞りながら、宗教2世に関する様々な報道や事例を読み漁りました。
その結果わたしはこの件の重要な問題に気がつきました。
それは、
殆どの宗教2世が親ほど信仰心を持っていない
という事です。
↑は考えればごくごく自然な事です。
何故なら、宗教1世である親は自分自身がその宗教の教えに感銘を受け、自らの意思で入信しています。
それに対して、宗教2世は「親が信じているから」という理由のみでその宗教に携わっている場合が殆どだからです。
中には信仰心が薄いばかりでなく、Tのように「信じているフリ」をして半ば惰性で宗教生活を送っている人も数多く居ます。
【まったく信じてないものを信じているフリをしながら生活する】
これはなかなか異常です。
例えばこの令和の時代に「地球は四角い」とか、「念じれば空を飛べる」とか信じるのが困難なのと同じです。
わたしは宗教2世が結婚できない問題の本質がここにあると確信しました。
信仰心があれば「結婚できない問題」は生じない
逆説的に言うと、強い信仰心のある宗教2世であれば「結婚できない」事が問題になる事はありません。
何故ならそれはその人自身が選んだ道なので、結婚できない事を宗教のせいにする発想がそもそも生じないからです。
宗教2世が結婚できないのは宗教の問題ではない
「宗教2世の結婚できない問題」は、もはや宗教云々の話というよりも親と子の関係性の問題です。
宗教に限らず、親と子の関係性が結婚に大きな影響を与える事は多々あります。
例えば、「管理主義型の親が子どもの結婚相手に口を出す」みたいな事です。
しかし、いつの時代も子どもは親を乗り越えなければ幸せな結婚などできません。
乗り越えるべきものがたとえ「宗教」であってもです。
問題はそれをいつ、どうやって乗り越えるかです。
宗教2世特有の難しいところは、親の信仰を論破するのが難しいこと。
いや、不可能なところでしょうか。
「僕/わたしは信じていないんだけど」
それを口に出してしまった途端、Tのいうように家族関係が破綻する恐れがあるのです。
宗教は目的でなく手段である
わたしは以前のブログでも宗教はインフラのようなものと記しました。
水道設備や電気やガスのように、人類にとって必要であるからこそ宗教は広まったと思うからです。
ただ、インフラはあくまで生活の利便性を上げるものです。
だから宗教のために生活が難しくなるのならそれは本末転倒です。
宗教とは本来人間が生きやすくするための手段であって、目的ではないはずなのです。
宗教2世が結婚するためには
さて。
本稿の本題です。
宗教2世が結婚するためにはどうすれば良いのか。
私なりのその答えはズバリ、
事です。
宗教を信仰したいなら信仰しましょう。
結婚したいなら結婚しましょう。
結婚したけど足枷になってるものがあるなら外しましょう。
その足枷がたとえ宗教や親兄弟であってもさっさと外しましょう。
それに尽きると思います。
だって考えてもみてください。
自分の価値観と反した生き方をしてる人間のどこに魅力がありますか?
「やりたく無いけどやらざるを得ないんだよ」
↑の言葉は職場でのみ使えるものです。
このような言葉を異性の前で言っても印象が悪くなるだけです。
大谷翔平が輝いてる見えるのは何故でしょうか。
いつの時代もモテるのは自分のやりたい事を生き生きとやってる人間なのです。
そして親は確実に自分より先に死にます。
親の価値観で生きていると、親が死んだ時に間違いなく途方に暮れます。
なにも残りません。
最終的に自分のケツは自分で拭くしかないのです。
1番子どもの幸せを願ってるのは実は親
そしてもっとも大切なことは、「親自身が何より一番子どもの幸せを願っている」という事です。
もちろん親は宗教を信仰してるので、その宗教を継いでくれる事が子どもの1番の幸せである事を信じています。
しかし、結果的に宗教に固執する事で幸せになれないなら、それは親にとっても本望ではありません。
親のためにも、子どもは自分自身の力で幸せになる義務と責任があります。
そのためには子は親を乗り越えなければならないのです。
まとめ
今回「宗教2世が結婚できないのは何故か」について友人のTの事例を交えながら考えてみました。
後日Tにわたしの考えをそれとなく伝えたところ彼はこんな事を言っていました。
「自分がどうしたいのか。将来の事も含めて改めてじっくり考えてみるよ。いまさら時間もないけどね(笑)」
Tの婚活はどうなるのか。
わたしはこれからも温かく見守っていきたいと思います。
皆様の婚活に幸運がありますように。
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